稲妻SS | ナノ

何て素敵な罰ゲーム




これは、夜の合宿所での出来事。

今日もイナズマジャパンのメンバーは厳しい特訓を終え、みなで食事をしたあと自室で各々自由な時間を過ごしていた。

ヒロトも例に漏れず、いつものようにベッドに寝そべり意中の人(言わずもがな円堂守)の写真をファイリングしたものを眺めていた。
やっていることは相当気持ち悪いが、無駄にルックスが良いのでファイルの中身さえ見えなければ撮影中のモデルに見えないこともない。彼はそのくらいかっこいいのだ。…顔だけ。


「はぁぁぁ…今日も円堂くんは可愛かったなぁ…。しかもいつもよりいっぱい喋れたし…!あああああああ守ううううう!!」


きゃー!と女子のような声を出し、両手で顔を隠した状態でベッドの上をゴロゴロと回転する日本代表選手基山ヒロト。普段はこれでも練習や試合はちゃんとするところが良くもあり腹立たしくもある。by鬼道

そんな彼の部屋にノックが響く。誰だ俺と守の貴重な時間を邪魔する奴は。内心そう思いつつ、口では爽やかに「はーい」と返事をしてドアを開ける。


「よ!」

「えっ、えええ円堂くん!どどどうしたのこんな時間に!」

なんと目の前には先程まで自分が考えていた相手が。途端に顔に熱が集まり、心拍数があがる。顔を見ただけでこの調子。そんな調子で大丈夫か?(大丈夫だ、問題ない!)
テンパるヒロトをよそに円堂は練習中に比べると控えめな態度でヒロトを見遣る。


「えっと…ちょっと、ヒロトに用事があって来たんだけどさ。とりあえず部屋入っていいかな?」

「へ、部屋!?円堂くんが!?俺の部屋に!?」

「あ、いや、駄目ならいいんだけど」

「そんなわけないじゃないか!!ささ、入って入って!」


実は円堂が自分の部屋に足を踏み入れるのは初めてだった。過去に何度も誘ったことがあるのだが、必ずと言っていいほど豪炎寺や鬼道、風丸、立向居などの円堂親衛隊に邪魔されていたのだ。

このチャンスを逃すわけにはいかない。そう固く決意して、ヒロトは円堂に気付かれぬように後ろ手でこっそりと鍵を閉めた。その間、円堂はベッドに腰掛けようと歩を進めたところである物を発見する。


「なあ、ヒロトこれ何だ?」

「ん?なんだい円堂く…」


ぴしり。確かにそんな音が聞こえたような気がした。円堂が見ているのはヒロトが今の今まで見ていた円堂アルバム13冊目。開けっぱなしのページにはゴールを守る円堂、靴紐を結ぶ円堂、ドリンクを飲む円堂、他にも円堂、円堂、円堂。


(やっちまったああああああああああい!!!)


迂闊だった。まさかこんな物を本人に見られるなんて。これ何だ?と聞く円堂の純粋な疑問の瞳が突き刺さる。何とかごまかさなければ。円堂に嫌われたくない一心でヒロトは嘘を連ねる。


「ああそれはね、イナズマジャパンのみんなの写真を貼ったアルバムだよ。目金くんに借りたんだ。ちょうどそこは円堂くんのページだね」

「へぇ、目金のヤツそんなことしてたのか!なあ、俺にも見せてくれよ」

「悪いけど、誰にも見せない約束で借りたからさすがに円堂くんの頼みでも聞けないなあ」

「ちぇーっ」


何とかごまかすことができた。円堂だけではなく他の人の写真もあること、これは目金が作ったアルバムだということ、嘘ばかりをつらつら述べる。そして内緒で借りたことを伝えることによって口封じもできた。完璧だ。

ヒロトは心の中で円堂と目金に謝りつつ、さりげなくアルバムを本棚に戻し円堂の隣に腰掛ける。


「それで、円堂くんが言ってた用事って何?」

「あ、えっと…その…………。うーん、ゴメン!」


何が?
そう思ったときにはもう円堂の唇がヒロトの頬に触れていた。


(…え、え、何これ何これ)


今起こったことが理解できず固まるヒロト。無理もない。ずっと恋焦がれてきた人物に頬とはいえいきなりキスをされたのだから。ヒロトにとってはそれはもう宝くじで3億円当てるよりよっぽど嬉しいことなのだ。
円堂はバッと離れると顔を真っ赤にし立ち上がる。


「そ、そんだけ!じゃあ俺、部屋帰るな!」


そう言い走って部屋から出て行こうとする円堂。だがヒロトはそれを許さず、円堂の腕を掴みベッドへと投げる。そして即座にその上に覆いかぶさり両手をベッドに縫い付けた。


「嬉しいよ円堂くん!まさか君も同じ気持ちだったなんて!」

「…同じ…?あ、!ちっ、違うんだヒロト!今のは」

「照れなくてもいいんだよ。ちゃんと分かってるから」

「分かってない!絶対分かってない!だから今のは、ッひゃああ!」

「優しくするからね、守」


こうなったヒロトは止まらない。円堂の服の中をまさぐる手も理性もノンストップだ。円堂がキスをしたのは、実は木暮たちにトランプで負けた際の罰ゲームだった…なんて知ったら、どんな顔をするのだろうか。

普通ならショックを受けるべき事実でも、彼ならきっと神様がくれたチャンスだと思うのだろう。


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